※追記 2021年1月25日改訂 下記ダウンロード資料差し替え済み
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、当社にできる社会貢献の1つとして、消毒ノウハウを提供する目的で消毒施工マニュアルを作成いたしました。
感染者の出た施設側、もしくは行政等が独自で消毒作業を行う前提の資料となります。
本資料の内容は一般的な内容であるため、実際には現場の事情によりカスタマイズが必要です。
本資料は参考資料として当社のノウハウを提供しているものであり、実際の対策時には行政機関と密に連携を取り、行政の指導に従って適切な手順で対応してください。
尚、当社では、事故や2次被害に関する法的な責任を負いかねるため、本資料のみに頼らず、施設側の責任で十分な情報収集と安全管理を実施願います。
ダイナミック・サニートでは、消毒施工の方法に関するセミナーと防護服の着脱デモ、各施設に合わせた個別マニュアルの作成を請け負っております。なお、自治体からのご依頼には、無償でセミナーをご提供させていただいております。
ご相談等ございましたら、お気軽にお問い合わせください。
<初版 2020年3月25日>
<第2版 2020年4月29日>
<第3版 2021年1月25日>
PDFファイルのダウンロードはこちらから < 第3版 2021年1月25日>
新型コロナウイルス 消毒施工マニュアル
2020年3月25日
株式会社ダイナミック・サニート
HYSIA事業部
消毒施工マニュアルの公開にあたり
弊社は秋田市に本社を置き、東北地方とアジアを中心に事業展開している衛生管理サービス企業です。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、社会貢献の一つとして、消毒施工ノウハウを提供することにしました。 このマニュアルは感染者の出た施設、自治体等が自ら消毒作業を行うことを前提としたものです。
内容は一般的であるため、実際には現場の事情によりカスタマイズが必要です。消毒に関するコンサルティングを弊社の感染対策・消毒プロフェッショナルが行います。実際の消毒業務については、人員的な制約があるため、当社では請け負っていません。
感染者が発生して緊急消毒が必要となったにも関わらず、必要資材が不足している場合に限り資材等の提供を行います(当社在庫状況による/秋田県内に限る)。
本資料はあくまで参考資料としていただき、実際の対策時には行政機関との連携を図りその指導に沿って対応してください。
また、弊社では事故や2次被害に関する法的責任を負いかねるため、本資料のみに頼らず、施設側の責任で十分な情報収集と安全管理を行ってください。
【前提条件】
- 作業員の感染リスクを最小限にすることを最優先し、その条件下での最大限の消毒効果を目指す
- 消毒施工が終了したのち、対象個所で人が従来通りの動作を行った場合において、当該ウイルスに感染するリスクを最小限にすることを目指すものであって、対象空間の完全なる滅菌を保証するものではない。
【対象施設】
・住居
・ビル(オフィス、学校、福祉施設、病院)
・交通機関(駅・空港・列車・バス・航空機・タクシー)など
【対象範囲】
消毒対象は床、壁(床高2m まで)、家具・資機材等(床高2mまで)とする。
また、消毒液によって腐食・汚損の可能性がある対象物、商品、及び表に表れていない個所(ショーケースの中、レジスター の中、金庫の中等)は除く。
説明)
天井及び壁の高い位置等は感染者が接触する機会が少なく、その箇所に接触して感染者が出るリスクは低いと考えます。また、それらを消毒対象とすると作業員の動作が複雑になり、作業員の感染リスクが生じる可能性があるので除外しました。
【使用薬剤】
① 消毒用アルコール(70-75%)
説明)
ウイルスにはエンベロープという膜に覆われたウイルスと、そうでないウイルスがあります。アルコールがエンベロープを壊すため、一般的に、エンベロープ型にはアルコールが効きやすく、非エンベロープ型には効きにくいとされています。新型コロナウイルスやインフルエンザウイルスはエンベロープ型ですので、アルコールでも十分効果的であると考えられます。また、次亜塩素酸ナトリウムと比較して人の皮膚や粘膜への刺激が少ないというメリットがあります。
注意点:
アルコールは揮発性が高く、引火の可能性があるため、火気への十分な注意が必要
② 次亜塩素酸ナトリウム(1%)
説明)
次亜塩素酸ナトリウムは、ウイルスの構成タンパク質などを酸化する事により不活化します。非常に広範囲の細菌やウイルスに効果を示し、消毒効果も高い事から、物の表面、床、壁を消毒する際には効果的と思われます。
注意点:
次亜塩素酸ナトリウムは、酸性溶液と反応し毒性の強い塩素ガスを発生させるため、酸性物質との混合は禁忌。また、漂白作用や金属腐食性があるため、金属製器具などへの使用は避けること。皮膚への刺激が強いため、直接手指で触れないよう注意すべき。
【処理方法】
-
- ハンドスプレイヤー又はミスト機を用いて、使用薬剤を対象表面が充分に濡れる程度に噴霧する。ハンドスプレイヤーはウイルスのエアロゾル化を防ぐために低圧で使用する。
- 感染者の接触リスクが高く、薬剤を噴霧できない箇所の清拭をする。
例)電話機、パソコン、精密機械など
説明)
施工方法として床や壁全体の「清拭」も考えらますが、清拭において往復動作は不可であるにも関わらず、それを充分に理解したうえで正しい動作を行える者は少ないと考えられます。作業員の感染リスクを最小にするという意味でも、表面へのスプレー中心に行い、清拭で消毒する箇所は限定的にすべきと考えます。
【作業手順】
- 施工前に、「消毒対象個所」「作業動線」「装備装着場所」「装備脱装場所」を決める。
- 防護服等の装着は消毒対象区域外で行う。
※解放空間でも可。床面の遮蔽(ブルーシート等)は不要。 - ゴーグル、タイベック、インナーグルーブ、アウターグローブ、キャップ、シューズカバー又はゴム 長靴、N95 マスクを装着する。
- アウターグローブはタイベックの袖の上に装着する。(シールドは不要)
- シューズカバー又は長靴は足首のタイベックの外に装着する。(シールドは不要)
説明)
4と5は脱装の際の動作をシンプルにして、交差汚染を防ぐための手段なので、両方ともガムテープ等によるシールドは必要ありません。
- N95 マスクのシールテストを行う。
- 作業動線は交差しないよう最も単純なラインを設定する。
- 入室後、照明点灯、換気扇停止、エアコンを停止し、窓はできる限り開放する。
- 作業中はマスク、ゴーグル、キャップ、顔面には触れない。
- 噴霧作業中は消毒対象個所、非対象個所を問わず、接触しない。
- 清拭作業中は消毒対象個所以外には接触しない。
- 消毒作業終了後、照明消灯し、使用資材の回収を確認し、窓とドアを閉める。
- 装備脱装場所にはブルーシートを敷き、それをガムテープ等で2分割して汚染区と非汚染区に分ける。
- 消毒作業終了後、全身に消毒薬を噴霧し、1 分以上経過後に装備脱装場所の汚染区上で装備を脱ぎ、 となりの非汚染区へ移動する。
- 防護服等を脱ぐ際は、防護服等の汚染部分が衣服等に触れないようにする。
- タイベック、グローブ(インナー・アウター)、キャップ、N95 マスク、シューズカバーは汚染袋1 に入れ、袋の内側と外側にアルコール消毒液を噴霧してから密封し、廃棄する。
- ゴーグル、ゴム長靴はそれぞれ汚染袋2、汚染袋3に入れ、袋の内側と外側にアルコール消毒液を噴霧 し、10 分以上経過後に洗浄する。再利用する際は事前にアルコール消毒液を噴霧する。
- 石鹸を使って手洗いをし、その後、手にアルコール消毒液を噴霧する。
- 消毒作業中の給水、用便、休憩は原則として禁止。もし、それらを行った場合は、手順1~18を最初から行う。
- 車両の内外にアルコール消毒液を噴霧する。
- 消毒用防護服以外の作業着等は通常の洗濯をする。
- 消毒業務に従事した者はその日から 14日間、朝晩2 回、体温を測り、記録し、異常が感じられた場 合は、直ちに医療機関に相談する。
【消毒後の現場対応】
消毒作業終了後、アルコールを使用した場合は 1時間後に、次亜塩素酸ナトリウムを使用した場合は24時間後に開放する。その後、充分な換気をしたうえで入室可能とする。
説明)
消毒用アルコールは短時間で効果を発揮する一方、残留性は低いので、処理後長時間現場保存する必要はないと考えます。塩素製剤を使用する場合はこの限りではありません。
【従事者】
消毒業務に従事する者は以下の条件の全てを備えている事が理想。
- 上記「作業手順1〜22」を完全に遵守できる者。
- 秋田県ペストコントロール協会主催の感染症予防衛生隊講習会において、防護服の着脱講習を過去に 1回以上受講した者。
- 直前に行う防護服着脱テストに合格した者
- 自らの判断で参加を希望する者
【事前に用意するもの】
- ハンドスプレイヤー等器材
- エタノール製剤(アルコール)・次亜塩素酸ナトリウム製剤
- タイベック・N95マスク・ゴーグル・グローブ(インナー・アウター)・キャップ・シューズカバー
- ブルーシート1 枚
- ゾーニング用ガムテープ等
- 汚染袋123(予備も含め)
追記)
感染症対応の消毒マニュアルの多くは、考えられる手法のすべてを網羅してしまい、結果として作業のし難いものなっています。作業の複雑化は作業員のリスクにつながります。今回は消毒対象を新型コロナウイルスに限定、作業員のリスク0が前提、施工者としての責任の限定、しかも公益に寄与することを前提としました。手順を合理的かつシンプルなものにすることによってそれが可能になったと考えます。
以上
(改訂 2020年4月29日)